日本国際連合学会 国連課題研究会 第10回月例会合の案内
2025年4月22日(火)午後8時~9時35分
オンラインセミナー:『未来のための約束を紐解く_持続可能な開発とグローバルガバナナンス』 基調報告者 中村 亮大使 外務省地球規模課題審議官
各位
国連課題研究会は、今年1年をかけ、昨年9月に国連未来サミットが採択した「未来のための約束」”The Pact for the Future” の五つの章 (註), 付属I.「グローバル・デジタル・コンパクト」 及び 付属II. 「将来世代に関する宣言」 のそれぞれを議論する予定です。
この度の研究会は、昨年9月に行われました国連未来サミットの成果「未来のための約束」”The Pact for the Future” の第1章で取り上げられている持続可能な開発とそれに関連する第5章のグローバルガバナンスの政策をどのように実施していくかを検討いたします。
すでに、パンデミックに加え、相次ぐ紛争の進行が世界経済と脆弱な国々を疲弊させる中、アメリカの追加関税と関係各国の報復関税の導入は、その動向に拍車をかけるものです。The Pact は、この事態の解決に有効な措置、即ち、開発途上国のみならず地球全体の持続可能な開発をブーストアップアップする施策を含んでおり、その履行に向け、国連システムを通じた対話と協力の方途を探ることと致したい。
参加要領、プログラム、及び研究会の趣旨は、下記の通りです。
皆様のご参加を切に願って、茲に案内を差し上げる次第です。
(註)Pact本文の構成は、以下の通りです。
I. Sustainable development and financing for development
II. International peace and security
III. Science, technology and innovation and digital cooperation
IV. Youth and future generations
V. Transforming global governance
2025年4月10日
猪又忠德 国連課題研究会幹事 日本国際連合学会理事
記
第10回国連課題研究会 オンライン・セミナー
時刻: 2025年4月22日(火) 08:00 ~09:35PM 大阪、札幌、東京
1. 参加要領
参加費無料
ZOOM リンク:(2025年4月22日(火) 07:50 PM/JSTから接続可
トピック: 第10回国連課題研究会オンライン・セミナー
Tadanori Inomata さんがあなたをスケジュール済みの Zoom ミーティングに招待しています。
Zoom ミーティングに参加する→
https://us06web.zoom.us/j/6988367750?pwd=BStnlWbw7URI3ybKgOPbpDY1VaNWrA.1&omn=83820589002
ミーティング ID: 698 836 7750
パスコード: 330497
録画:ミーティングは、録画されます。用途は、研究会のサマリー作成のた めの内部作業に 限り、発言内容は関係発言者の同意なく公表されません。
事前登録:不要にしております。関心のある方に拡散していただければ幸いです。ただし、ZOOMヴィデオ画面上の参加者画像欄にご氏名乃至属性を必ず記入ください。
(不適切な参加者は事務局の判断でZOOMから退席をお願いする場合がありますのでご了解ください。)
2. プログラム
第10回国連課題研究会 オンライン・セミナー 未来のための約束を紐解く_持続可能な開発とグローバルガバナナンス」
2025年4月22日 08:00 ~09:35PM
19:50 ZOOM入室開始
20:00~20:05開始 モデレーター 門司 和彦 (長崎大学・客員教授)
20:05~20:50 基調報告 中村 亮大使 外務省地球規模課題審議官
テーマ:「「未来のための約束」とわが国の多数国間外交の再定義_SDGs戦略の強化方向」 (仮題)
20:50~21:05 コメント 春日 文子 長崎大学プラネタリーヘルス学環 教授
科学と社会との協働(超学際研究)の視点、また、SDGsの自発的国家レビューにおけるステークホルダーの関わりについて。
21:05~21:30 質問と参加者による自由討論(一発言3分以内)
21:30今後の行事案内
21:35 終了
登壇者のご紹介(敬称略)
中村(なかむら) 亮(りょう) 中村 亮大使 外務省地球規模課題審議官(大使)
1969年〈昭和44年〉 生まれ 埼玉県出身 1992年3月東京大学法学部第二類卒業 1992年3月外務省入省 在インドネシア大使館公使、在ドイツ大使館公使、長崎県警察本部長などを経て、2023年8月アジア大洋州局南部アジア部長 2025年1月より現職
春日(かすが) 文子(ふみこ) 長崎大学プラネタリーヘルス学環教授、SDGs推進円卓会議構成員
1988年:東京大学大学院農学系研究科畜産獣医学専攻博士課程修了
国立感染症研究所主任研究官、国立医薬品食品衛生研究所部長、国立環境研究所特任フェローを経て、2023年より長崎大学
2011-2014年:日本学術会議副会長(国際活動担当)、2015年よりFuture Earth国際事務局日本ハブ事務局長として、地球環境変化と社会の持続可能性に向けた超学際研究を推進支援
3.研究会の趣旨
(1) 目的
今回の研究会では、The Pact 第1章『持続可能な開発と開発のための資金調達』を議論します。すでに、パンデミックに加え、相次ぐ紛争の進行が世界経済と脆弱な国々を疲弊させる中、アメリカの追加関税と関係各国の報復関税の導入は、その動向に拍車をかけるものです。The Pact は、この事態の解決に有効な措置、即ち、開発途上国のみならず地球全体の持続可能な開発目標の達成をブーストアップアップする施策を含んでおり、その履行に向け、国連システムを通じた対話と協力の方途を探ることと致したい。
また、The Pact 第5章グローバルガバナンスには、現下の国際貿易体制の持続可能な開発へのシステミックな衝撃に備えた諸政策が掲げており、その検討も必要です。
(2) これまでの経緯
国連課題研究会は、今年1年をかけ、昨年9月に国連未来サミットが採択した「未来のための約束」”The Pact for the Future” の五つの章及び2本の付属のそれぞれを議論し、官民の国連への理解を高めることを企図しています。
第1回研究会は、2月にThe Pactの紹介と総論を行いました(第1回会合の資料別添)。第2回研究会は、3月にThe Pact 第2章『国際の平和と安全』のテーマの下、核兵器禁止条約第3回締約国会議2025の成果と課題に関する報告を踏まえ、核廃絶運動の将来を討議いたしました。
(3) 議論の方向
The Pactは、ウクライナやガザ等世界各地の紛争・戦争が継続するさなかにも拘らず、人間の命の安全と尊厳を基本とした世界の共感と連帯を糾合する未来世代へのメッセージをうちだしました。
The Pactは、地球温暖化や生物多様性の喪失など地球環境の危機的変化をはじめ、貧困、飢餓、紛争や戦争、パンデミックの発生による地球規模の変革が経済・社会・環境の諸次元で人々の生命とくらしを脅かし、SDGsの達成を阻害している旨警鐘を鳴らしています。このような危機の克服は、一国の能力を超えており、多数国間システムを通じる連帯と協力によらねばならないと説いています。
しかしながら、国連システム機関は、米トランプ政権の再来により、まったくの冬の時代に入った様子です。また、日本の官民やメディアの国連への関心は、低調です。SDGの一般の認知とは裏腹にその達成をブーストアップするはずのThe Pactの履行への取り組みは、希薄です。
従来、SDGsについては、官民専門家のレベルで多岐にわたるステークホルダーのプラットフォームが形成されています。例えば、SDGs推進本部、持続可能な開発目標(SDGs)推進官民円卓会議、ODA政策協議会NGO・外務省定期協議会、ODA政策協議会がその例ですが、これらの場の議論は、ODAを軸とする開発協力に焦点を置く傾向があり、未来サミットの帰結を踏まえたわが国外交におけるmultilateralism 及びSDGs戦略の新たな位置付けは、明確ではありません。
The Pactには、紛争の根本原因である経済・社会・環境面の障害の除去、金融・貿易の国際秩序の矛盾の克服やグローバルガバナンスの変革等が盛り込まれているが、その実現において、グローバルサウスと如何に連携するのかも重要な論点です。
この度のセミナーでは、中村 亮大使 外務省地球規模課題審議官の基調報告は、現下の世界的危機に対処する総合的な外交政策の国連システムを中心とした展開振りを扱います。
これに対し、長崎大学の春日 文子教授からは、プラネタリーヘルス(地球・生態系の中で成り立つ人間の社会と福利)の視点を踏まえ、The Pactの履行のため超学際研究、即ち、科学と社会との協働を進める重要性の指摘、例えば、SDGsに関し、自発的国家レビューにおけるステークホルダーの関わりにつき問題提起があります。
ちなみに、The Pactは、「すべての人類のための福祉、安全、尊厳、そして健全な地球healthy planetを保証する」重要性を標榜しており、プラネタリーヘルスの研究の貢献が期待されます。